第52回 住宅の家賃にも消費税が・・・・・

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私は過去のコラムで“消費税の仕組み(第23回)、消費税導入の背景と家賃の非課税化(第24回)、非課税になっての大家の苦境(第28回)”について書いて参りました。

3月に今年度予算が成立してから、“消費税減税”の掛け声が一段と大きくなって参りましたね! その背景にはコロナという未曽有の社会の混乱から続く昨今の物価高、この状況下今年予定されている都議選と参議院選挙を見据えて、国民が直面する問題を解決する、という“お題目”ですね。

本来政治の目的は、“国民の生命財産を守る”ことにあり、その手段として選挙で国民の代表を選ぶ、ということです。

しかしながら、“猿は木から落ちても猿だが、国会議員は選挙に落ちたらただの人”と言われるように、国会議員にとって選挙は、政治の手段であるべきところ、目的になってしまっています。

“軽減税率である食料品の税率を8%からゼロ%に下げる”と主張、確かに国民受けしますね!

この“軽減税率”は、2019年に消費税が10%に増税された際に、“逆進性”対策として導入されたもの。現在その対象は、外食を除いた食料品と、新聞の定期購買です。今回は、軽減税率の食料品だけが議論の対象となって、新聞は議論の対象になっていません。

増税と減税は、コインの表と裏の関係と同じで、コインを作る時は必ず表裏のデザインを決めます。表だけ、あるいは裏だけのコインはありません。増税と減税も同じで、増税を考える時は、“飴と鞭”が必要で、“増税と軽減税率”がこれに当たります。

減税論議も同じで、もし減税を議論するなら、飴だけでなく、鞭=財源確保も必要です。

残念ながら野党が主張する“軽減税率の暫時ゼロ税率化”は国民受けしやすい“飴”だけで、それを実現する“鞭=財源”の議論がありません。

5月になって、自民党も勉強会を立ち上げる!という動きになっていますが、現時点で少数派の“減税派”は、やはり財源については“政府にお任せ”という状況です。

なぜこのような状況下にあるかというと、消費税は“税制の一丁目一番地”であるにもかかわらず、その基本的仕組み、非課税、ゼロ税率のメリット・デメリットを国会議員が殆ど理解していないからです。正直、その状況は消費税導入直後から30年以上全く変わっていません。昨今の報道を見るにつけても、ゼロ税率と非課税を混同した内容が散見されます。

物価高対策で国民を救うのならば、食料自給率40%以下の日本で唯一自給できるコメの価格を正常に戻すことこそ、本道ですが、省益の前に国会議員は打つ手がありません。

税制は国家百年の計の一つでありながら、これも財務省が牛耳っているのは広く国民の知る所です。もし、食品を対象に減税が実現出来きるなら、それこそ、国会議員でも、選挙の為なら省益を越えられることの証となるであろう!と私は思います。

選挙までにはしばらく時間があります。有権者の皆さんには、私が過去書いたコラム程度の内容は理解し、その上で各議員や政党の主張を吟味していただきたいと考えます。

因みに、今回のコラムのタイトルですが、家賃に消費税が掛かることはあり得ない、と私は見ています。なぜなら、そんなことをしたら確実に選挙に負けることは、1992年の参院選対策として家賃が非課税になった経緯を考えれば、誰でも分かる流れだと思います。

今回は、ちょっと政治色の強いコラムとなってしまいましたが、この辺で・・・・・