何かと話題になる“EV”ですが、2022年上期の販売台数は、全新車販売台数に対し、1%(17000台の販売)を超えたそうです。
日産リーフと三菱のiミーブが発売された2010年頃、 “将来に向けて、賃貸でも充電設備を検討しておく必要がある!”と考え、いろいろと勉強しました。
まず、日産と三菱に電話で聞いてみました、“集合住宅ではどうやって充電するのですか?”
両社の回答は全く同じで、“分譲の場合は管理組合に、賃貸の場合は大家さんに相談して下さい!”
そこで私は質問を続けました、“私がその大家なんですが、入居者様から相談されたら、私はどう答えればいいのでしょうか?”
両社の答えは・・・・ありませんでした。つまり、両社がEVを投入した時点では、残念ながら集合住宅での充電は念頭に無かった、と言わざるを得ません。
しかしながら、この10年でインフラは大分整備され、現在全国には約3万か所弱の充電ステーションがあるそうです(急速充電8000か所、普通充電2万か所強)。
この3万か所というのが多いのか、少ないのか? 2019年の数字ですが、全国には約2.9万のガソリンスタンドがある!とのことなので、ガソリンスタンドの数より多い!と言えます。
確かに昨今、街中で“充電器”をよく見かけますよね!でも、私の感覚では、“いつも空っぽ(充電していない)”。EVの充電は、急速充電でも30分掛かりますから、ガソリンの給油時間(例えば5分)の6倍! つまり、充電ステーションが同じ時間内に処理できるクルマの数は1/6。それでも、充電ステーションが空いているのは、まだまだEVの絶対数が少ない、ってことですね!
販売シェアではなく、市場シェアを試算してみました。
・2022年上期の販売台数=17000台 → 通年で34000台
・今後前年比30%づつEVの販売台数が伸びると、10年間で累計約145万台弱(10年間、廃車ゼロと仮定)。
・2022年3月時点での、乗用車(普通、小型、軽)の全登録台数は6187万台(10年後も同じと仮定)。
・145万台÷(6187万台+145万台)=2.29%
つまり10年後には、街に100台乗用車が走っていると、EVが2台という“計算値”になります。
素人の計算なので、“伸び率30%”が適正なのか否か全く分かりません。もし、伸び率を60-70%にすると、10年後初めてEV車の市場シェアが10%を超えます。
昨今補助金を使って、“EVスタンドの設置費用ゼロ“をうたった事業者が出てきております。この事業者は、今の内に補助金を使ってEVスタンド網を確立し、来るEV時代に利益を上げよう!と考えているものと推察します。電力はオーナー(地主、法人等)が仕入れ、この事業者が募集した会員がEVスタンドを利用すると、事業者が課金し手数料を取った残りをオーナーに支払う、という、いわゆる”手数料ビジネス“です。
”投資ゼロならやってもいいかな?“と思われますが、実はここにも落とし穴が・・・
3万弱あるという充電スタンド、実は2022年は前年に比べ1000か所程その数を減らしております。理由は”設備の老朽化“。つまり、今、充電スタンドを設置しても、その効果が見込める5年後、10年後には設備を入れ替えなければならない、という事態が予想されます。
ということは、大家として先行投資するのは難しい、との結論になります。
残念ながら、既存の集合住宅(賃貸・分譲)では、敷地外の急速充電ステーションを使わざるを得ないというのが現状ですね。